クラシックカメラ 今月の「ひとこと」

ハッセルの真髄は、フォーカルプレーン機である

どうも。店主の早田清(はやたきよし)です。仮店舗に移ってからお客さんの出入りが少なくなったので思う存分カメラ修理にいそしんでいる今日この頃です。ブログでも書いたけど、修理していて楽しいカメラといえばハッセルブラッド。それもフォーカルプレーン機が最高峰。楽しいっていうのは簡単になおせるという意味じゃない。むしろその逆で、いわば修理家に挑戦状を叩き付けるようなカメラだね。

ハッセルブラッド 1600F
ハッセルブラッド 1600F

ハッセルブラッドの最初のカメラは、最高速度が1/1600秒のフォーカルプレーン機。薄くて強い金属の浪板をシャッターにしているんだけれど、それを動かす構造がとんでもなく複雑なんだよね。

徹底的にバラバラにしてみる
徹底的にバラバラにしてみる

巻き上げレバー兼シャッター速度ダイヤル部分から連なるギアの輪列を1歯の狂いもなく組み戻さない限りこのカメラは動かないんですよ。たいがいの修理家は途中であきらめちゃうけれど、設計者のヴィクター・ハッセルブラッドの意思を組みとりながら突き詰めていくと「ああ、こうやるんだ!」ってわかる。そこが最高に楽しい。こんなところまで判っているのはオレだけか? とか思うと楽しいんです。

ハッセルブラッド 1000F
ハッセルブラッド 1000F

そのあとシャッター速度を最高1/1000秒に落としたモデルが出るんだけれど、基本的な構造は1600Fと同じ。ボクは両方ともハッセルブラッドの故郷スウェーデンからしか買わない。たぶんスウェーデンでハッセルを持っていた人ってハッセル本社に修理を出していたと思う。だからこのカメラのことを完全に理解しているエンジニアによって修繕されている。これがアメリカのebayとか日本の市場で仕入れたりすると目も当てられないような出鱈目な修理品に当たっちゃうんですよ。そうなるともう、それは部品ですね。

ハッセルブラッド 500C
ハッセルブラッド 500C

ハッセルといえば、レンズシャッターの500系という印象が強いかもしれないけれど、それは当時のスタジオ撮影でフラッシュのシンクロ速度を1/500秒まで上げられるというカメラマン側の要望が作らせたカメラなんじゃないかな。だからハッセルの設計家であるヴィクター・ハッセルブラッドの真髄は1600F1000Fフォーカルプレーン機だし、このカメラを作ろうとしたのは殆どビョーキだよなぁ。と思う。ハッセルフォーカルプレーン機って、ちゃんと整備されていさえすれば、ほとんど壊れることもないですよ。

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