クラシックカメラ 今月の「ひとこと」

ほんとうに一番好きなカメラのこと。

どうも。店主の早田清(はやたきよし)です。2月20日のブログでも書いたんだけど、雑誌やテレビの取材なんかで「早田さんの好きなカメラは何ですか?」とか聞かれると、その場で見せられる在庫の中から選んで「これなんかいいカメラだよね」とか紹介しちゃうんだよね。
でもね、ボクが本当に好きなカメラは、いつでも店にあるワケじゃないんだよ。たまたま今ここにあるから正々堂々と宣言するけど、本当はコレが大好きなの。

アダムス・マイネックス・デラックス・トロピカル
アダムス・マイネックス・デラックス・トロピカル 126万円】

このカメラ、だいたい350万円はするんだよ。だから126万円なんてタダ同然とも言えるよね(笑)。それはそれとして、見事だよね。8年も寝かせたマホガニーとチーク材を組み合わせてクサビでとめた仕上げが素晴らしいでしょ。思い返せば23歳の頃、お店に出入りしていたクラシックカメラ通の老人に「世界最高のカメラは、マリオン・ソホでしょうか?」と尋ねたところ「私も見たことはなく、噂でしかないけれどアダムス・マイネックスの方が遥かに上らしい」って言うんだよ。それから現物にお目にかかるまで30年。今までに4台しか売ってない。

カメラ界のロールス・ロイスとも呼ばれるアダムス・マイネックスってクルマと同じくらい値段が高いだけじゃなくて、カメラとしてすごく先進的でもあるんだ。1910年の時点でセルフキャッピングのフォーカルプレーンシャッターを実現しているし、ミラーが上がるときに遮光板がせり出してきたり、レボルビングすると撮影フレームが縦横自動で切り替わったりもする。まさに頂点を極めたカメラなんだ。

アダムス・マイネックス・デラックス・トロピカルのシャッター
アダムス・マイネックス・デラックス・トロピカルのシャッター】

現代のカメラにつながる全てが凝縮されたカメラ。アダムス・マイネックスを見れば、「これを、ちょこちょこっとバルナックさんがまとめたのがライカなのね」って思うよ。フォーカルプレーンシャッター式カメラの原点。それから先の100年は、ただ早く、大量に、安くカメラを作ることの歴史なの。それでいいのか?って思うよね。アダムス・マイネックスは出発点を思い知らせてくれる。それが何とも好きなんだよね。

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