クラシックカメラ 今月の「ひとこと」

グッタペルカって知ってる?

どうも。店主の早田清(はやたきよし)です。好評みたいなのでライカを買ってくれたお客さんの悩み話をさらにもうひとつ。今回は、ライカに貼ってある皮がパラッと剥がれ落ちてしまったんですけれど、全部貼りなおさないとダメなんでしょうか?って血相変えて店に飛び込んでくるパターン。パラッと剥がれ落ちるというのがポイントだよね。

パラッと剥がれた皮
パラッと剥がれた皮

カメラと一緒に剥がれた皮の一部を持ってきてくれるお客さんもいるけれど、それって固いものなんですよ。破片をつまんで折り曲げようとするでしょ、そうするとパキッと割れちゃう。実はライカ以外のカメラには古いものなら昔の辞書の装丁に使っていたような本革、そのあとの時代はビニールを貼っているんだけれど、ライカは違う。

皮が剥がれた地金にはサビも
皮が剥がれた地金にはサビも

ライカの独特な手触りの理由は、この貼ってある皮にある。ガッチリと固くて、しっかりシボが入っている。固いから、破けるとかめくれることはなく、長い時間がたつと地金と皮の間にある接着剤が劣化して隙間が空いてくる。その隙間が広がって皮の一部は宙に浮いた状態になってしまって、あるときパラッと剥がれるんだね。

ライカのグッタペルカ
ライカのグッタペルカ

で、そのライカに貼ってあるのがグッタペルカ。南洋の樹からとれる樹脂なんだけど、普通の天然ゴムより強くて固い。歯医者さんで歯を削られた後に何だか熱く溶かしたみたいなのでフタされて「はい、じゃあ明後日にまた来てください」とか言われたことがあるでしょ? あれもグッタペルカなんだって。ようするにゴム状の樹脂だから、熱を加えると軟らかくなるんだね。パラッと剥がれたらその先にも地金と皮の間に隙間があるだろうから、そこも剥がして貼りなおすのが基本。買ってくれたライカの皮が剥がれて、その破片も見つからない場合には大きさと反り加減とシボの模様をあわせて修理するから安心してください。

貼りなおしたグッタペルカ
貼りなおしたグッタペルカ

修理の秘訣は熱を使うことなんだけど、どこがパラッと欠けて、どこが繋ぎ目かわからないでしょ。なので、ライカの皮がカケてしまっても元どおりにできます。もしライカの皮が割れちゃったら、まずは割れている皮のキワの部分に、模型用のラッカーでも画材のアクリルガッシュでもいいからひと塗りしておくこと。そうすると隙間に水分が入り込んで地金がサビていくのを防げます。で、暇になったら店に持ってきてもらえば、ちゃんと手当てしてあげますよ。

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